イギリスで本場のバレエを子供と鑑賞! 〜英国立バレエ団 くるみ割り人形 NUTCRACKERをレポート〜【世界の子育て】
ロンドンの冬の風物詩のひとつ、バレエ「くるみ割り人形 NUTCRACKER」。バレエ鑑賞は敷居が高そうなイメージですが、ドレスコードもなく子連れOKの公演も沢山あります。英国立バレエ団の本拠地であるロンドンコロシアム劇場では、ファミリーデーが設けられており、気軽に子供と鑑賞できるようになっています。今回はロンドンで子育て中のライターはるこが、2歳と4歳の子供を連れて鑑賞したバレエ「くるみ割り人形 NUTCRACKER」をレポートします!
バレエ「くるみ割り人形 NUTCRACKER」とは?
クリスマス・年末シーズンになると公演される『くるみ割り人形』。総勢100名を超えるダンサーとミュージシャンによる幻想的な演出で、ロンドンの冬の大イベント。
美しい衣装を着たダンサーとチャイコフスキーの壮麗な音楽、ファンタジーな物語は子供達にも大人気です。
使われる音楽は、「金平糖の踊り」や「あしぶえの踊り」など、チャイコフスキーの有名な楽曲が多く、CMでも聞き覚えがあることでしょう。
ロンドンでは、ロイヤルオペラハウス、ロンドンコロシアムなど各複数の劇団で公演されており、各劇団で内容がやや異なります。
「くるみ割り人形」簡単なあらすじ
クリスマスイブ。ドロッセルマイヤーおじさんが主人公の少女 クララへのプレゼントにくれたのは、不恰好なくるみ割り人形。兄のフランツにからかわれ、もみ合ううちに人形は壊れてしまいました。その日の夜、人形が心配でクララは寝付けません。すると、ベッドの周りにネズミ達に囲まれ、助けに来たくるみ割り人形と戦いを始めたのです。劣勢になったくるみ割り人形をクララが救うと、人形は王子様になって、雪の国、お菓子の国へと招くのです…。
「ファミリー・デー」に、英国立バレエ団の公演を鑑賞!
今回、私たちが選んだのはロンドンコロシアムで開催される、英国立バレエ団 English Nationa Balletによる公演です。
ここでは通常、推奨年齢5歳以上となっていますが、ファミリー・デーがあります。その日は0歳児から入場可能なのです!しかも、16歳未満は無料(大人1人に付き2人まで)。
私たちは2歳と4歳の子連れなので、約2時間15分(途中休憩あり)の公演で最後まで集中力がもつか心配でした。しかし、今回は初めてのバレエ鑑賞にぴったりだと思い、チケット購入を決断しました。
開始15分前会場につくと、劇場の前にはバギーを持った家族連れがたくさん!新生児から幼児、小学生と子供で一杯です。
事前にメールを印刷したチケットを係員に見せてエントランスに入場すると、バレエシューズでできたツリーが出迎えてくれました。天井や床の装飾も素晴らしく、まるで美術館のようです。
座席は舞台の前の平土間(Stalls)、3階建バルコニー(Balcony)を持つ構造になっています。座席はなんと2359席!ロンドンでも最大級を誇る劇場なんだとか。
私たちは最上階のバルコニーの最後列。舞台からは一番離れた席ですが、それでも舞台の上はしっかり見えます。上から全てを見下ろす感じは開放感があり、悪くない席でした。価格は£20(約2,800円)と、かなり手頃。子供は上階の席に驚き、はしゃいでいましたよ。
公演中の子供の反応は?
事前にストーリーを子供には聞かせておいたこともあり、場面ごとに4歳の息子からは質問の嵐。セリフがないので、言語も関係なく感覚的に理解できるのがいいようです。
「人形が壊れたー」「クララの所に、ネズミがきた!」などと、子供の声が次第に大きくなってきて少し嗜めましたが、他の席でも幼児や赤ちゃんの声がします。
会場の豪華さに反して、張り詰めた空気がないのでリラックスして鑑賞できますね。
舞台は、第一部と第二部に分かれていて途中に休憩が入ります。
第一部はストーリー展開が面白く、兵隊とネズミ達が踊りながら戦うシーンなど、子供たちは興奮して見ていました。主人公たちが気球に乗って、雪の国へと飛び立つシーンで第一幕が降ります。
休憩時間をカフェ・バーで過ごすのも、楽しみのひとつ
さて、もう一つのお楽しみは休憩時間の過ごし方です。多くの人が席をたち、カフェ・バーへと向かいます。
子供達はアイスを頬張り、大人はシャンパンやワインを飲んだりして談笑します。
劇場によって、カフェ・バーの規模は異なりますが、必ずと言ってよいほどどこの劇場にもついています。
ロンドンコロシアムでは、エントランス、会場の各階ごとに複数の施設があり、最上階のガラス張りのドームもカフェ・バーになっていましたよ。
ドリンクは休憩時間に飲みきれなくても、劇場内に持ち込めるので大丈夫です。
続いて、第二幕。雪の国での雪の精の踊りはコールドバレエ(大勢が群で踊る)で大変有名です。優雅で美しい踊りはとても幻想的でした。子供目線にもキラキラと光る衣装、華麗な身体の動きに、「綺麗!」と感動していましたよ。
続く、お菓子の国でのダンスも見所です。スペインはチョコレート、アラビアはコーヒー、中国はお茶、ロシアは飴菓子、フランスはミルリトンという各国のお菓子の名前がついているダンスです。何を表現した踊りか、考えて見ると楽しいですね。一方で、話の展開があまりないのでやや飽きてしまう子供も。しかし、ダンスを習っている子供や、小学生以上であればより関心をもてると思います。
基本情報とチケット予約
英国立バレエ団 English Nationa Balletとは
英国立バレエ団は、世界的のクラシック・バレエの名門。1950年にバレエ・スターであったアリシア・マルコバとアントン・ドーリンがジュリアン・ブラウンスェッグとともに立ち上げたのが始まりです。現在は、ダイアナ元妃が後援者になっています。
上演日・時間
2019年12月11日-1月5日
7:30pm, 2:30pm, 4pm, 2pm
上演時間
約2時間15分
料金
£14〜£80(予約手数料別)/16歳未満は半額(大人1人に付き2人まで)
チャイルド・ポリシー
5歳以上(ファミリー・デーのみ年齢制限なし)
公式サイト
チケット予約
予約は公式HPから行います。操作は簡単で人数を入力した後に、会場写真と座席Mapをみながら席を決めることができます。チケットは郵送(国内のみ)、ボックスオフィスでの受け取り、Eチケットが選べます。
ロンドン コロシアム(London Coliseum)の情報
住所:33 St Martin's Lane, London, WC2N 4ES
行き方:地下鉄チャリング・クロス(Charing Cross・ノーザン線/ベーカールー線)駅から、ダンキャノン・ストリートを直進すると右側にセント・マーティン・イン・ザ・フィールズ教会があります。教会に沿って右に曲がり、セント・マーティンズ・プレイスを北上すると右手に見えます。徒歩約5分。
ロンドンでエンタメ鑑賞するための基礎知識(補足情報)
公演・上演演目の情報を調べるには?
駅やホテル、劇場などで無料の冊子が置いてあります。有名なのは「Time Out London」「Official London Theatre」など。ホームページも分かりやすいです。チケットはどこで取る?
《日本で調べる・予約する》→「Official London Theatre」でのオンライン予約
Official London Theatreは、現在公演・上映中の演目を網羅するHPです。観たい公演を探しやすく、日付、マチネ(昼公演)かイブニング、ミュージカル、オペラ、劇などを選んで検索できます。チケットは、カード決済した後に郵送かプリントアウトかを選びます。
《観たい演目が決まっている》
→演目の公式HPからオンライン予約、もしくは電話予約。その後、当日ボックスオフィスでチケットを受け取れます。座席指定が分かりやすく、早割チケットがあることも。
見たい演目+london で検索してください。
《直前に決めたい、当日券が欲しい》
劇場のボックスオフィスにて、直接購入できます。
まずは、ガイドブックや「Time Out London」などで、見たい演目がどの劇場で行われるのかを確認して現地へ。各劇場のチケット窓口「Box Office」で、「日付、時間、人数」を伝えてください。行く前に電話予約も可能ですが口頭でカード決済が必要な場合も。
《安くチケットを手に入れたい》
→公式割引チケット販売ブース「TKTS(チケッツ)」や格安サイトへ。
「TKTS(チケッツ)」 スローンスクエア、ピカデリーサーカスから数分の所にある割引チケット販売ブースです。行く直前にHPを確認すると、その時にディスカウントされているチケットの価格が分かりますよ。このブースは並んだ人の分だけ割引チケットを購入できるので、いつも混んでいます。実際に、休日の11時に行ったところ30分以上並びました。なお、人気のチケットは定価のままです。
「Last minute(ラスト・ミニッツ)」 格安チケットのまとめサイトです。エンタメ以外のディスカウントも取り扱っています。上部のタブで「Theatre」を選び、検索窓に「Musicals」などで検索。掘り出し物がみつかもしれません。
ドレスコードはある?服装は?
子供向けのミュージカルや音楽鑑賞にドレスコードは、ほとんどありません。
やや格式高いものは、オペラとバレエです。特にロイヤル・オペラハウスなどで鑑賞する際は、短パンやビーチサンダルなどカジュアルすぎる格好は避けた方がよいでしょう。
バギーは持ち込める?オムツ替えはできる?
バギーは受付などで預ける場合が多いです。ベビー向けコンサートの場合、会場内まで持ち込める場合もあります。教会などでも空いているスペースに置かせてもらえますよ。
また、殆どのトイレにはベビーチェンジング・シートが付いています。
子供は何歳からOK?乳幼児の入場は?
ミュージカルは公式HPで対象年齢が記載してあるので子供の年齢にあった公演を選びましょう。乳幼児向けもあります。対象よりも上の公演に兄弟などで入場するのは問題ありませんが、長時間の公演は避けましょう。
コンサートは、「Family」「Children」「Young peple」「All age」などと記載されているものを選べばOKです。
子供料金の設定について
ミュージカルやバレエは、基本的に座席の料金になっていて子供料金の設定はありません。学校が休みの期間の子供向けイベントやコンサートでは、子供料金の設定や無料の場合もあります。
子連れで行く時のポイントは?
小さな劇場や会場にはドリンクや売店がない場合もあるので、最低限、飲み物と子供の軽食・お菓子(散らからないものがベスト)は持参しましょう。レジが混雑することもあるので、何か持っていると安心です。会場によっては持ち込み禁止の場合もあるので注意書きは確認しましょう。
会場アクセスについて
ロンドン 市内は劇場やホールがたくさんあるので間違えないようにしましょう。郊外の立地以外は、駐車場は少なく、道も混雑しますので地下鉄やバスで行くのがベスト。開演・開場時間が近くと駅やボックスオフィスが混雑しますので、早めに着くようにしましょう。
まとめ
日本では公演回数が少ないことから、バレエに行く機会が少ないかもしれません。しかし、ロンドンではより気軽に鑑賞できますよ。特に、クリスマスシーズンのくるみ割り人形はおすすめですよ。バレエをきっかけにクラシックに興味が湧いたり、ダンスを習ってみたくなったりするかもしれません。子供の頃から色々な興味に触れさせる機会として、本物の芸術に親しむ場として、親のリラックスタイムとして・・・。
バレエの経験者はもちろん、少しでも興味のある方はぜひ鑑賞してみてくださいね!
ライター はるこ
ロンドン在住2児の母。夫の転勤で渡英し、3才男の子を現地の幼稚園へ通わせながら、1才女の子を育児中。
UZUZU[ウズウズ]で、ロンドンの子育て情報を取材・レポートしています。