2019年1月8日 text by:UZUZU編集部
モンテッソーリ教育って、どんなことをするの?
「藤井聡太七段の集中力を育てた」とも言われる「モンテッソーリ教育」。日本では幼稚園や幼児教室で、この教育法が取り入れられていることがあります。 具体的な教育内容をご存知でしょうか? 今回はモンテッソーリ教育について歴史的背景から紐解き、使う教具や家庭での取り入れ方などをご紹介します。
INDEX
モンテッソーリ教育とは
一般に「モンテッソーリ」と呼ばれる教育法、その考案者は医師であり教育家でもあったマリア・モンテッソーリ博士(1870-1952)です。
ローマ大学初の女性医学博士であり、ローマ大学卒業後は、障害児の治療教育に携わり、実験心理、教育学にも研究分野を広めました。
モンテッソーリ教育の考え方において軸となるのは「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」の存在です。子どもには本来的に「自己教育力」が備わっていて、その力を存分に発揮できる環境と、自由が保障された状況の中にあれば、子どもは自発的に活動を繰り返し、成長していく、というのがモンテッソーリ教育の考え方です。
ただし、日本でモンテッソーリ教育を受けることができるのは義務教育課程以前、つまり乳幼児期がメインです。
モンテッソーリ教育を受けた有名人には、Google創業者のセイゲル・ブリン氏、ラリー・ページ氏、amazon創業者のジェフ・ベゾス氏、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏などがいます。日本人では、藤井聡太棋士がモンテッソーリ教育を実施する幼稚園に通っていたことも話題になりましたね。
モンンテッソーリ教育の5分野
モンテッソーリ教育では、教育を「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」の5つの分野にわけて考えています。
<日常生活の練習>
日常生活での動作を練習することによって、秩序だった身体の動かし方を習得し、その自立心や独立心を育みます。
<感覚教育>
感覚を洗練させ、ものの考え方を身につけます。
<言語教育>
絵カードや文字カードを使いながら、言語発達を促します。
<算数教育>
数の概念、十進法、計算を通して、抽象的、論理的な思考力を身につけます。
<文化教育>
パズルや時計などを用いながら、歴史、地理、生物、音楽について学びます。
モンテッソーリ教育ではこれらの学びを、その時期の子どもたちが行うべき「お仕事」と定義します。
出典:ベネッセ 記事モンテッソーリ教育の方法
モンテッソーリ教育で大切なのは、
・子どもが自由に教具を選べること
・「やってみたい」と思えるおもしろそうな教具があること
・社会性や協調性を促す目的で、年齢縦断型のクラス編成をすること
・一人ひとりの発達段階に応じた環境を整備し、子どもの自己形成を助ける教師がいること
の4点です。
この環境が揃ってこそ子どもが「お仕事」に集中でき、教育がスムーズに進むとされています。
モンテッソーリ教育の教具
モンテッソーリ教育では、先の5分野に応じていろいろな教具を使います。
ここで、「学研の保育用品」から一例を紹介しましょう。
<日常生活の練習>
ひもとおし
手先の器用さ、巧緻性を育み、集中力を鍛えます。
三つ編み板
目と手の協応動作を促します。
縫い刺しセット
3本指の使い方を習得し、両手の指先の巧緻性を育みます。
<感覚教育>
ピンクタワー
三次元で物の大きさ、高さを捉え、大小、高低の感覚を養います。
雑音筒
音の種類や強弱の違いに気づき、観察力を育みます。
円柱さし
3本指の使い方を習得し、見て持って、大きさや量を認知します。
<言語教育>
砂文字盤
字形と文字の一致を促し、筆順を理解します。
ひらがなスタンプ
50音からの文字の抽出、単語の組み立てと完成を目指します。
<算数教育>
算数棒
1-10の量と数詞の一致、十進法の理解の準備をします。
平方ビーズ
数字と量、数詞の関係を理解し、十進法の理解を促します。
<文化教育>
時計
時計の部分の名前、時刻の表し方を学びます。
日本地図パズル
日本の形を知り、都道府県、地方があることを理解します。
どこで受けられる? モンテッソーリ教育
海外では幅広い年齢で受けることのできるモンテッソーリ教育ですが、義務教育制度が敷かれている日本ではどうしても乳幼児期に限定されてしまいます。
幼稚園や幼児教室で、専門家によるモンテッソーリ教育を受けることができます。
例えば幼稚園。全国各地に、モンテッソーリ教育を教育方針に掲げる園がありますね。
幼児教室も同様で、0~6歳児を対象にした教室が全国各地で開かれています。
家庭でも取り入れてみよう
特別な教具を用意しなくても、日常生活の中でモンテッソーリ教育の考え方を取り入れることができます。
「子どもの成長を観察して、適切な時期に、適切な環境を用意してあげれば、子どもは自分の力で成長していく」というのが、モンテッソーリ教育の中心にある考え方です。
つまり、「大人の子どもに対する接し方」が、家庭実践の際の肝となるのです。
例えば、包丁で野菜を切るという「お仕事」。
「危ない」という理由で止めるのではなく、子どもの「やりたい」気持ちがあれば、ぜひ本物の野菜を、本物の包丁とまな板を使って切る、という体験をさせてください。
洗濯、掃除などの家事の動作のひとつひとつには教育的な要素が含まれています。
子どもが関心を見せたことに「向き合ってあげる」ことが、家庭での実戦の第一歩だと言えます。
子どもが「自分でやる環境」で、モンテッソーリ教育を
モンテッソーリ教育で重んじられているのが、子どもの「自分でできた!」という経験です。
もちろん、ひとつの教育法であるので、子どもの個性によって向き不向きもあるかもしれませんが、家庭でも簡単に要素を取り入れてみることができるので試してみるのもいいかもしれませんね。
この教育法がうちの子に向いているな、そう感じたときには、幼稚園や幼児教室選びの際の判断材料にするといいかもしれません。
UZUZU編集部
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