教育水準の高いシンガポールでの小学校の選び方【シンガポールの子育て】

世界の子育て

2019年9月2日 text by:永原薫

教育水準の高いシンガポールでの小学校の選び方【シンガポールの子育て】

世界各国で子育てしている日本人ライターや現地の方に、現地の子育て情報や、その国ならではの雰囲気を伝えてもらう「世界の子育て」シリーズ。今回はシンガポールにお住まいのKAORUさんに、シンガポールの小学校選びについて語っていただきました。

シンガポールの小学校ってどんな感じ??

近年、日本でもインターナショナルスクールにお子様を通わせる親御さんが増え、海外教育に関心を持たれている方がたくさんいらっしゃいます。

そこで今回は、シンガポールでの小学生の教育事情についてお話しします。

シンガポールの幼稚園同様、小学校も私達日本人にとっては選択肢が3つあります。

・文部科学省認定 日本人学校
・インターナショナルスクール
・シンガポールのローカルスクール

一般的に、日本人家庭がシンガポール在住の際は、日本人学校かインターナショナルスクールに通わせるのがほとんどです。

日本と同じ教科書で学びながら、英語力も身につく日本人小学校

日本人小学校を利用するためには条件があり、保護者の「日本人会」への入会が必須になります。日本人小学校はシンガポール政府が認めた私立校であり、日本人会運営の元成り立っています。その為、保護者が日系企業に勤めている場合は企業として入会しており、企業を通じて入学寄付金が支払われています。

また保護者が外資系企業、自営などの場合は、個人として日本人会に入会し、入学寄付金を納める必要があります。

小学校はシンガポールの東と西に2校あり、地域で入学できる校舎が決まってきます。どちらも文部科学省の学習指導要領に準じており、教科書は日本の小学校で使っているものが使用されます。日本との大きな違いは、英語力がかなり高まる点です。

小学一年生の頃より週に5時間英語の授業があり、20段階くらい英語クラスのレベル分けがされ、日常で困らない役立つ英語を学べる内容になっています。

また親御さん達も非常に勉強熱心であり、本帰国後日本の社会に日本人として馴染めるようと、放課後は日本語の補習授業などに通わせている方が多く見られます。
その為、子ども達は、小学校での英語と、放課後の塾の影響もあり、かなり高い学力を備えていきます。

学費は年間250~300万円。英語重視、個を大切にするインターナショナルスクール

インターナショナルスクールと日本人小学校の違いは、ベースが英語か、日本語かとなります。シンガポールに永住組の日本人の子どもは英語をメインとして、個を大事にする教育方針のインターナショナルに入学させる方も多くいます。一方で、いずれは日本へ戻る予定のご家庭は日本人小学校に入学するケースが多く見られます。

インターナショナルスクールは学費も桁違いで、年間250~300万円。最近はもう少し安いローコストインターナショナルスクールもできてきたようではあります。

カリキュラムの面では世界的に信頼を得ている国際バカロレア(IB)のプログラムのすべてを提供しているスクールもあったり、子どもの英語に自信がない場合は英語補習クラス(ESL)が用意されているスクールもあったりします。

入学を希望する場合は、事前に見学に行き、カリキュラムの確認をしておくのがおすすめです。

圧倒的な勉強量! しかし日本人はなかなか入学できないローカル小学校

シンガポールのローカル小学校についてですが、こちらは私達日本人には入学がかなり狭き門になっています。

何故ならば、ローカル小学校なのでやはりシンガポール国籍の子ども達が第一優先で入学、その次にPR(永住権)保持者が優先されるため。人気校はそういった方でほぼ埋まってしまい、余った学校の残席をPR保持者以外の外国人が抽選により入学となるため、日本人でPRでない家庭はほぼ、ローカル小学校に入学するのは難しいとされています。

またローカル小学校はシンガポール国籍の子は無償ですが、それ以外の国籍の子は高額な授業料を支払う必要があります。

ローカル小学校の特徴は、インターナショナルスクールや日本人小学校とは格段に違う勉強量です。何故ならば、小学6年生の際PSLE(Primary School Leaving Examの略)という卒業時に必ず受けるテストがあるからです。

これにパスする意味は2つあり、1つは卒業できること。そしてもう1つの理由はこのテストの結果により、その後の進めるコースが決まってきます。

PSLEの結果で60%以上が進学コースのエクスプレスコースに進むほか、20%以上がノーマル(アカデミック)コースに進み、10%がノーマル(テクニカル)コースに進みます。

万が一このPSLEに不合格だった場合は留年することになり、もう一度6年生をやり直すことになります。

このPSLEの結果でコースが決まり、将来就く職業も決まってきます。
シンガポールには4つ大学があり、トップは東大よりも高いレベル、ここを卒業すると将来安泰のシンガポール政府系の職業に就くことが可能になるのです。

小学生の頃から成績でクラス分けがされており、進める中学、進める高校、受験できる大学とその都度テストがあり振り分けられる為、シンガポールはまさに学歴社会です。

しかしながら、あまりにも子どもの早い年齢時期に将来の方向性を決めてしまう現在の教育システムに対して昨年教育改革があり、数年後には小学6年生で受けるPSLEをもう少し先延ばしにすることが決まりました。

シンガポーリアンの親御さんは子どもの将来のためにPSLEに白熱し、詰め込み式の勉強、そして放課後の塾と早い段階から子どもの勉強を真剣に考えていますが、もう少しだけテストが先延ばしになるならば、幼稚園の頃から勉強漬けになっていた子ども達も、少しゆとりを持って将来を考えてあげることが可能になってくるかもしれません。

大切な小学校選び。子どもにどんな経験をさせたいかがポイント

超学歴社会で、高い教育水準のイメージが強いシンガポール。しかし小学校の種類によってそれはまちまちです。どんな小学校に通ってもかなり高い英語力は身につきます。あとは、子どもにどんな小学校生活を送らせたいか。

日本人小学校、インターナショナルスクール、ローカル小学校、その選択肢から、子どもにどんな経験をさせてあげたいか、また、そのための入学条件は揃っているかを確認しましょう。方向性が決まったら、学校を見学してから入学する学校を決めると良いですね。

KAORU シンガポール在住4年、一児の母。 渡星前は、メイクアップアーティストとして活動。大学卒業後、撮影現場にて、大手広告、ポスター、CMに携わる。 シンガポールで妊娠出産し、現在3歳の息子を子育て中。 子育てママとしての新たなステージに立ち、シンガポールにてメイクアップ活動を再開。 ライフステージの変わる女性へ、美とマインドのサポートを提供中。

KAORU

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