英語、中国語など!海外の言語や文化を学ぶシンガポールの幼稚園【シンガポールの子育て】

世界の子育て

2019年6月20日 text by:永原薫

英語、中国語など!海外の言語や文化を学ぶシンガポールの幼稚園【シンガポールの子育て】

世界各国で子育てしている日本人ライターや現地の方に、現地の子育て事情や、その国ならではの雰囲気を伝えてもらう「世界の子育て」シリーズ。今回はシンガポールにお住まいのKAORUさんに、シンガポールの幼稚園事情について語っていただきました。

多民族国家のシンガポール。何となく、シンガポールの教育レベルは高そう、と感じていらっしゃる方も多いかもしれないですね。
今回はシンガポールの幼稚園事情についてお届けします。

シンガポールの幼稚園選びには、大きく分けて3つの選択肢があります。

シンガポールの幼稚園1

幼児期から勉強! 英語と中国語を学ぶ「ローカル幼稚園」

シンガポールの家庭は共働きが一般的です。よって、共働きのニーズを受け、保育時間は朝7時から夜7時と長時間を預かってもらえるのが特徴です。

また、入園時期は日本とは違い、1月始まりで、早いところは生後18ヶ月から入園が可能になっています。

シンガポールの第一言語は英語なので、園で用いられる言語は全て英語です。さらに、ローカル幼稚園の特徴として中国語の授業もあるため、子どもたちは英語と中国語をマスターしていきます。

日本語の使用を禁止している幼稚園もあれば、最近では日本人の先生を園に1人くらい置いている所もありますが、園と親とのやりとりは通常全て英語になります。

シンガポールの幼稚園2

シンガポールは教育にとても力を入れています。幼稚園に続くローカル小学校、さらに先の進路も、テストにパスをしなければ小学生でも留年することも少なくありません。ファイナルテストが厳しいため、シンガポールの子ども達は幼稚園の頃から勉強を始めていきます。英語の読み書き、スペルチェック、中国語の読み書き、英語でのスピーチの練習などもしっかり身につけていきます。

幼稚園に通っているのはローカルの子どもがメインですが、日本人の駐在員の子どももシンガポールを肌で感じられる良い経験になるため、ローカル幼稚園に入園を希望する方もたくさんいます。

ローカルの親達は勉強にとても力を入れており、学級懇談会では次々に挙手をして、勉強の進め方などを先生にバシバシ質問をするシーンも見られ、日本人ママはちょっと圧倒されることもあるようです。

英語はもちろん、中国語、日本語、ドイツ語、フランス語も学べる「インナーナショナル プレスクール」

インターナショナルスクールの附属の幼稚園のことを「インターナショナルプレスクール」「インターナショナル幼稚園」と言います。

シンガポールには、アメリカンスクール、ブリティッシュスクール、オーストラリア系、カナディアン系と、英語圏のインターナショナルスクールが存在します。

シンガポールの幼稚園3

ほんとんどのインターナショナル幼稚園の保育時間は午前中までか午後1時くらいまで。もちろん全て英語で授業が行われ、第2外国語として、中国語、日本語、ドイツ語、フランス語を選択できます。

施設も大変充実しているため、子ども達はのびのびと個性を発揮して成長していきます。学費が非常に高いというのも特徴です。

日本の文化や伝統、礼節も学ぶ「日系幼稚園」

シンガポールの日系幼稚園は、日本同様4月に始まります。
シンガポールは常夏ですが、日系幼稚園では日本の子ども達のように四季を感じられるカリキュラムを独自で取り入れています。

シンガポールの幼稚園4

シンガポールの幼稚園5

シンガポールでは見ることのない、雛祭りや鯉のぼりの製作、そして、多国籍国家のシンガポールらしく、チャイニーズニューイヤーやマレーの断食明けのお祭りハリラヤプラサ、日本のお正月、クリスマス、ハロウィンなど様々な文化を取り入れて、どんな日で何をするのかを日本語と英語で分かりやすく教えます。

シンガポールの幼稚園6

保育者は日本人とシンガポーリアンの先生が半々なので、日系幼稚園に通っていても英語に触れる機会は日常的に多くあります。

また、ローカル幼稚園やインターナショナル幼稚園と同様に、リトミックや英語の発音を学ぶPhonix(フォニックス)を取り入れており、綺麗な英語を学ぶ時間も設けてあります。というのも、シンガポーリアンの話す英語には独特の訛りがあり、初めて聞くと中国語のように聞こえ、「シングリッシュ」と言われるほどなので、英語の発音は重要視されるのです。

ローカルの先生が話す言葉は、かなり“シングリッシュ”が強いので、Phonix(フォニックス)や英語圏のネイティブの先生から学ぶ英語でシングリッシュではない綺麗な発音を身につけるようカリキュラムに入れています。

シンガポールの幼稚園7

日系幼稚園では日本人の礼節を重んじる教育も取り入れており、海外育ちであってもまずは日本人としてのアイデンティティを身につけることをモットーにしています。駐在生活が終わり、本帰国した時にもすぐに日本の学校に馴染めるよう教育されているのです。

どんな言語でどんな学びをさせたいかで幼稚園を選ぶ

シンガポールは多民族国家であり、諸外国からの駐在員も多く住む国です。
子どもの教育にも非常にたくさんの選択肢があり、どの言語で、どんな学びをしていきたいかによって、希望する幼稚園に入園させることが可能です。

人気の幼稚園は1年前くらいからウェイティングリストに入れておくと安心ですが、基本的に学費を払うことができれば、希望の幼稚園に入れます。

ほぼ全て幼稚園がスクールバスでの送迎を取り入れ、家から近いピックアップポイント、もしくは、住んでいるコンドミニアムのエントランスまで乗り入れてくれるので、送り迎えはとてもスムーズです。

ただ、ルートによっては子どもが40分以上と長い時間バスに乗っていなければならないこともあるので、子どもが対応できるか事前に園と話し合っておくのがおすすめです。もちろん、ご両親やヘルパーさん(シンガポールでは多い、住み込みメイドさん)が送り迎えすることも可能です。

シンガポールの幼稚園7

まとめ ~大人の姿を見て子どもものびのび。学べるのは勉強だけではない~

シンガポールで育っている子ども達は、どの国籍の子もとてものびのびとしています。人種が様々であるのが一般的であり、言葉も様々。でも、子ども達は人種を関係なく分け隔てなく遊んでいる姿をよく見かけ、とても微笑ましいです。教育熱心な国ですが、勉強だけに重きを置いているわけではなく、人間関係なども育んでいくのがこの国の幼児教育です。

また、シンガポールの子ども達は大人同様、とてもフレンドリー。自分よりも小さい子には優しくするのは当たり前。
きっとこの習慣は、幼稚園だけでなく、子どもや妊婦さんにとても優しいシンガポーリアンの国民性だと思います。子どもを見かけると話しかける、子どもに席を譲る、ホテルやレストランでも子どもを寛容に見守る、そんな親の姿をずっとみて育っている子ども達なので、子ども同士も壁を作らず、穏やかに育っているのだと感じています。

シンガポールの幼稚園8

シンガポールで幼稚園入園を考えいらっしゃる方は、実際にお子様と見学に行き、それぞれの幼稚園の雰囲気に合うかどうかを確かめてから入園をされると良いでしょう。
きっとお子様にぴったりの教育方針の園が見つかるはずです。

KAORU シンガポール在住4年、一児の母。 渡星前は、メイクアップアーティストとして活動。大学卒業後、撮影現場にて、大手広告、ポスター、CMに携わる。 シンガポールで妊娠出産し、現在3歳の息子を子育て中。 子育てママとしての新たなステージに立ち、シンガポールにてメイクアップ活動を再開。 ライフステージの変わる女性へ、美とマインドのサポートを提供中。

KAORU

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