【親子で体験「教育留学」】自然いっぱい!北秋田市の教育・子育て体験ツアーレポート(秋田)

親子体験

2018年10月30日 text by:久保田 真理

【親子で体験「教育留学」】自然いっぱい!北秋田市の教育・子育て体験ツアーレポート(秋田)

「国内教育留学」を親子で体験できるツアーがあることをご存知ですか?子どもに自然体験や生きる力を育む経験をさせたいと願いつつ、都会での暮らし・教育のあり方に不安や疑問を抱いている親は少なくありません。都内在住の尾藤(びとう)弘子さんもその一人。2018年10月、秋田県北秋田市の移住ツアーに親子で参加。東京を拠点にしながらも、「教育留学」という方法で、地域で子供を育む可能性を感じることができました。

自然のなかで子育てがしたい。北秋田市の体験ツアーへ

都内在住の尾藤弘子さんと小学2年生の娘さんは、2018年10月6日(土)から8日(月・祝)の3日間、秋田県北秋田市が移住体験事業として実施した「秋田流教育・子育て体験ツアー」に参加しました。

このような体験ツアーがあるのを初めて知った!という方々のために、尾藤さんにツアーの内容やそこで感じたことについて伺いました。

秋田教育留学ツアー体験レポート

都内に夫と三人で暮らしつつも、自然の多いところで子どもが育つことを望んでいた尾藤さんは、友人からこの北秋田市の移住体験ツアーについて聞いて興味を持ち、「美味しいものが食べられるよ!」と食いしん坊の娘を誘い出すことに成功、親子で参加することになりました。

今回のツアーに参加したのは、尾藤さん親子のほか、渋谷区在住の6歳の子ども連れの親子と、国立市在住の未就学児2人連れの親子の3組。

参加費は大人2万円、子ども1万6880円のほか、現地集合場所までの交通費がかかりますが、同市から1世帯最大5万円の助成を受けられました。

「秋田流教育・子育て体験ツアー」スケジュール 

秋田教育留学ツアー体験レポート

東京に在籍しながら秋田教育が受けられる「教育留学」

秋田教育留学ツアー体験レポート

尾藤さんはこのツアーを通じて、秋田には、子どもが現在の学校に在籍しながら参加できる「短期チャレンジ留学」と「オーダーメイド型留学」があることを知りました。

「短期チャレンジ留学」では、毎年8月末と12月末の5〜6日間、北秋田市、八峰町、東成瀬村の3市町村で授業体験や自然体験をすることができます。
また、「オーダーメイド型留学」は、滞在期間も数週間、数ヶ月など自由で、宿泊場所も生徒が選択できるユニークな制度。民泊、もしくは、あきたリフレッシュ学園(北秋田市の場合)のどちらかを選ぶことができます。

「実際に移住、というだけでなく、現在の学校に在籍しながら、自然豊かな地域の教育を受ける選択肢があるのは、子供の教育の可能性が広がりますね」と尾藤さんは話します。

宿題はないのに全国トップ!スゴい秋田教育とは?

秋田教育留学ツアー体験レポート

今回、尾藤さんがこのツアーへの参加を決めたのは、「秋田教育の素晴らしさを自分の目で確かめたい」という理由からでした。
秋田県は、小学6年生と中学3年生を対象に行われる「全国学力テスト」で2007年度の開始以来トップクラスの成績を収め、学力の高い県としても知られています。

ツアー初日、同市内の合川小学校を視察して校長先生の話を聞いたり、合川学童研修センター(あきたリフレッシュ学園)を訪れて教育留学制度の説明を受けたりしました。
尾藤さんは小学校にて、子どもたちの字が上手だったことに感銘を受けたそう。「特に書道を習っているわけではないのに美しい字が書けると聞いて、家庭での自主学習にそのヒントがあるかもしれないと思いました」と尾藤さん。

この自主学習とは、「秋田県式家庭学習ノート」を使った学習方法のこと。秋田では、小学1年生の後半から、教師から出される宿題はなくなり、生徒自身が取り組む内容を決めて自主学習するといいます。子どもたちは、自主学習ノートに、自分でやることを考えて、その取り組みを記録していきます。親と学校が密に連携し、子どものノートにコメントを残しながら子どもの取り組みを見守ることで、“自分でやることを考えて解決する力”を育んでいます。

秋田教育留学ツアー体験レポート

秋田県式家庭学習ノートは、「勉強グセと創造力が身につく」と多数の本で紹介されています。

また、尾藤さんは、校長先生が話していた“自己肯定感を育む”教育理念にも強く共感しました。

「先生は『答えはひとつではない』と教えているそう。生徒が出した答えに対してすぐにマル、バツつけず、その答えに至った理由を探る授業をしているとのことでした。
 秋田の場合、教育改革が以前より進んでいて、アクティブラーニング式の授業が行われている。クラブ活動などには専門の外部講師が入るといった取り組みなどにより、先生にも学ぶ余裕が生まれ、子供の自己肯定感を育む良質な教育ができるのではと思いました」。

移住者交流会、地元スーパー巡りも。秋田の暮らし体験

秋田教育留学ツアー体験レポート

今回のツアーでは、秋田の暮らしを肌で感じる体験もすることができました。
郷土料理体験として秋田名物・きりたんぽ作りに参加して、地域の料理名人に作り方を教わったり、地元スーパーの見学も。大きなキャベツが100円台と驚きの安さ。また、食用菊が店頭に並び、豊富な鮮魚コーナーではサメの切り身や秋田名物のハタハタが信じられないほど安い値段で売られていることにも驚いたそうです。
また、宿泊した旅館では、燻製の手羽先やホタテ、茄子田楽やハタハタの一夜干しなども頂きました。

秋田教育留学ツアー体験レポート

秋田教育留学ツアー体験レポート

小石に絵を描き、隠したり見つけたりするWA ROCKを体験

秋田教育留学ツアー体験レポート

特に子どもが喜んで参加していたのは、「WA ROCK(ワロック)体験」。
これは、オーストラリアで楽しまれている遊びで、好きな絵を描き、隠した小石を別の誰かが探してまた隠すことを繰り返して、小石が県内外、海外へと広がっていく楽しみがあります。娘の由依ちゃんも小石にアクリル絵の具で好きな絵を描いた後、探したり、持ち帰ったりして楽しんだそう。

オーストラリアに移住した親子が昨年、北秋田市内の小学校に通ったのを機にこの遊びを伝え、広まっていったとのこと。

海外に暮らす日本人が夏休み期間に帰国し、オーダーメイド型留学制度を利用して秋田の学びや暮らしを体験するケースもあるそうですよ。
2018年はインドやシンガポールに暮らす小学生が、数日から約1か月間、秋田の教育留学を体験したとのことでした。

まとめ

3日間の北秋田市の教育・移住体験ツアーを経験して尾藤さんは、改めて子どもにとって自然と関わることが大切だと感じ、高い建物がなくて空が広く、山が近い北秋田市をとても気に入ったそうです。

「旅行ではなかなか体験できない、地元の人たちとの交流ができてよかったです。『子供はみんなの宝』という意識が地域に根付いている秋田の人の温かさがとても印象的でした。

秋田は冬の寒さが厳しそうですが、私は学生時代にスキー部に所属して雪山に足しげく通っていた経験があるので、雪に抵抗がありません。
選択肢のひとつとして秋田があると思ったので、今の教育に行き詰まりを感じている人は一度秋田に足を運んでもらえたらうれしいですね」。

尾藤さんは今後も北秋田市のイベントに参加するなど、積極的に関わりを持っていくそうです。

<関連情報>

秋田流教育・子育て体験ツアー (北秋田市事業ホームページ)

詳細をみる

秋田県北合同移住フェア『きてみねが~!!秋田の北にロックオン!』

記事の「移住体験ツアー」に関心を持った方は、今後の開催予定などもこちらのイベントで聞けると思います!

日時
2018年11月2日(金)15時30分~20時30分
2018年11月3日(土)12時00分~17時00分

詳細をみる

秋田教育留学ツアー体験レポート

勉強グセと創造力が身につく『秋田県式家庭学習ノート』(主婦の友社)。

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ライター 久保田真理

フリーランスライター&フォトグラファー&ワークショップデザイナー。
UZUZU[ウズウズ]で、取材インタビュー記事なども担当しています。

ライター 久保田真理

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