2019年1月8日 text by:UZUZU編集部
シュタイナー教育って、どんなことをするの?
子どもの個性を生かしながら「からだ」「こころ」「あたま」のバランスを重視する「シュタイナー教育」。近年日本でも、この教育法を取り入れている幼稚園や学校があります。具体的にどのような教育をするのでしょうか? 今回はシュタイナー教育の歴史や特徴、使う教具や家庭での取り入れ方などをご紹介します。
INDEX
シュタイナー教育とは
シュタイナー教育の考案者は、オーストリア(現在のクロアチア)生まれの哲学者 ルドルフ・シュタイナー博士(1861-1925)です。「知性だけでなく全人的な成長を促す」ための教育である、という点にシュタイナー教育の特徴があります。参考:公益財団法人 日本シュタイナー学校協会HP
社会・経済・医学・農業など幅広い思想体系に影響を与えたシュタイナーの理論ですが、そのもっとも大きな特徴が「からだ」と「こころ」と「あたま」のバランスを大切にする、ということです。この3つが均衡を保って発達することこそシュタイナー教育が目指すことであり、たとえば早期に「知能」だけを発達させる理念と大きく異なる点です。
日本でも幼稚園や学校で、シュタイナー教育が取り入れられていることがあります。幼稚園の場合は、認可園での実施も多いですが、小学校以降となると文科省の認可が下りているのは「学校法人シュタイナー学園初等部・中等部・高等部」、「学校法人北海道シュタイナー学園(いずみの学校)」の2校。そのほかの学校は、NPO法人による運営の「フリースクール」が主となります。
参考: 学校法人シュタイナー学園学校法人北海道シュタイナー学園(いずみの学校)
一般社団法人 日本シュタイナー幼児教育協会(いずみの学校)
シュタイナー教育を受けた有名人には、黒柳徹子さんや俳優の斎藤工さんがいます。
シュタイナー教育の7年周期
シュタイナー教育では、人間の成長過程を7年周期で考えます。
第1期にあたる「0-7歳」は身体が成長する時期、第2期にあたる「7-14歳」は心が成長する時期、第3期にあたる「14-21歳」は頭が成長する時期、とされています。
シュタイナー教育では、この順番を守ることも大切とされ、期に応じて手足をたくさん動かすことが重んじられる、感情を豊かにする経験をたくさんすることが大切、思考力を中心に育てることが重要、というように目的が定められているのが特徴です。
そして、シュタイナー教育がその先に目指すのは「自由」な生き方ができる人間に成長することです。
シュタイナー教育の内容
では、シュタイナー教育では、具体的にどういうことをするのでしょうか。
最初に挙げられる特徴的なポイントは、
・テレビは見せない
・プラスチックの食器やおもちゃは使わない
・部屋は柔らかいピンク色のような色調
の3点です。
また、シュタイナー教育には「フォルメン」「オイリュトミー」という独自の教授法があります。
「フォルメン」とは、直線や曲線、幾何学模様の描画を通して、集中力をつけさせたり指先を訓練させたりする方法です。これが数学や美術の基礎的学習として位置づけられています。「オイリュトミー」とは、音楽に合わせて体を動かし、図形や感情を表現する科目です。他者との調和などを学ぶことができるとされています。
また、原則として一人の教師が一貫して教育に携わることも特徴です。たとえば12年一貫教育を重視する学校では、子どもたちの成長の全体を見通し、長期的まなざしで育てるために、原則同じ教員が担任をし続けます。
シュタイナー教育の教具
シュタイナー教育では「自然の素朴さ・温かさ」を大切にしています。教具にも、その素朴さや温かさの特徴が表れています。その一例を紹介しましょう。
・蜜ろうクレヨン
天然の蜜ろうに、植物や鉱物などから作られた顔料を混ぜ込んで作ったシュトックマー社の蜜ろうクレヨンは、お子さまにも安心してお使いいただけます。
・蜜ろう粘土
蜜ろうとワックスを混ぜ合わせて作られた粘土です。常温では堅く、始めに手の熱で温めてやわらかくしてから使用します。
・水彩絵の具
この水彩絵の具(不透明)は、ゲーテの色環に信頼をおいた色構成で、顔料の濃度が濃いので独特の光輝を持ち、薄めても力強さが残ります。
・色鉛筆
最良の書き心地のリラ社の色鉛筆 スーパーファルビー。
・マイリトルライヤー
子どもが赤ちゃんを抱くような、可愛いサイズのライアー。
・アウリスグロッケン
真ちゅうでできたかまぼこ型の音板から奏でられる音色は透明でやさしく広がります。
そのほかにも、たくさんの教具が紹介されています。メルヒェン公式サイト
シュタイナー教育に関連する書籍も多数あります。
うちの子にはどの教育法が合っているのだろう…と迷うときや、シュタイナー教育につて知りたいときのおすすめを紹介します。
シュタイナー教育に関するおすすめ書籍
・『子どもの教育』 筑摩書房 :シュタイナー自身による入門書
・『シュタイナー教育』 イザラ書房
・『おうちでできるシュタイナーの子育て 「その子らしさ」が育つ0〜7歳の暮らしとあそび』 :クレヨンハウス
・『親だからできる赤ちゃんからのシュタイナー教育』
子どもとの時間を大切に、家庭でもシュタイナー教育を
「スマホ育児」という言葉に代表されるように、子育てをどうしても文明の利器に頼ってしまう場面があります。しかし、シュタイナー教育ではテレビはNGとされていることをご紹介しました。
たとえば、スマホに頼っていた時間を一緒に絵を描く時間、工作する時間などに置き換えてみるのはどうでしょうか。身近なところから、家庭で取り入れられるシュタイナー教育の一歩になりますね。
先に紹介した市販のおもちゃを使うのもいいでしょう。
UZUZU編集部
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